ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「あぁ…せこだけ人が避けてたから、何かあんのかなって思って」
「そっかぁ」
「一昨年と同じだな」
「え……うんっ!」
覚えててくれたことが嬉しくて、笑顔になる。
「苺、いきなり泣き出すんだもんな」
「そっ!そこは覚えてなくていいよっ!!いじわる〜!」
恥ずかしい思い出。
だけど、あの涙は…嫌な涙じゃなかった気がする。
「あ、そうだ。苺ちょっと待ってて」
「うん?」
裕くんは、あたしに背を向ける…けど、
ぐいっ
「苺〜手離してくれないと」
「え?」
視線を苦笑する裕くんから、自分の手に向けると、あたしの手はしっかりと、裕くんの手を握りしめていた。
「あっ!ごめんっ!」
何やってるんだろっ。
あたしが手を離そうとしたら、裕くんが強く握り返した。
「すぐ戻ってくるから」
そっと手を離すと、今度こそ裕くんは、背を向けて歩き出した。
見送った後、あたしは近くの低い石垣に腰かけて、待つことにした。