ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「苺?共食いしねぇの?」
「共食いじゃないってば!」

笑う裕くん。
その笑顔が…好き。

「なんか食べるの…勿体ない」
「食べねぇで腐らせる方が、勿体ないじゃん」
「う…」

正論。
あたしは袋を開けて、裕くんの言う通り、食べることにした。

イチゴ飴を口に運ぶ。
甘い飴が、パリッと音を立てて割れて、イチゴの味が口いっぱいに広がる…。

懐かしくて切ない、あたしの初恋の味−…。

「美味しい?」

裕くんの質問に、頷こうとしたその時、

ドンッ!

背後から、とても大きな音がした。

「「!?」」

あたしも裕くんも、びっくりして振り返る。

「わぁ…♪」

あたしは思わず声を上げた。

夜空には大きな花が咲いていた…。

「綺麗だねっ♪」

あたしは裕くんの方を見て、言った。

「おぉ…」
「…」

そのまま、あたしは裕くんから目が離せなくなった。

見とれてしまった。

花火を見つめる裕くんの顔が、あまりに綺麗だったから…。

2年前より、もっともっと綺麗に見える…。
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