ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「あーはいはい。お熱いことで〜。じゃあ俺は、退散するかな」

そう言って、大和は1回背を向けたが、もう一度こっちに向き直ると、笑みを浮かべて突進してきた。

「なっ、何だよっ」

苺を半放置して、大和は玄関の中まで入って来た。

「裕也くん、がんばれっ♪」
「は?」
「男になってこい!」
「…意味不明」
「分かってるだろーが!このムッツリめ!」
「…バカ」

それ以外の言葉は、出てこない。

「あの…何してるの?」

苺は控えめに、顔だけ出して、こっちを見ていた。

「あっ!ごめん苺ちゃん!どーぞどーぞ」
「え…」

苺は困った顔をする。

「遠慮せず、入っちゃいなって♪」

大和は苺の手を軽く引いて、玄関の中に入れた。

「お前の家じゃないだろ」
「まぁまぁ♪じゃ、俺帰るから。ごゆっくり〜♪」

…パタン

ドアが閉まる。

ひらひらと手を振りながら、大和は出て行った。

「はぁ…」

アイツ…今日はいつもより、テンション高かったな…。

「あっあの…あたしも帰るね?」
「何で?」
「え?だって迷惑じゃ…」

迷惑…な、わけがない。
< 324 / 494 >

この作品をシェア

pagetop