ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「いいよ、上がって」
「えっ」
俺は先に家に上がる。
「苺?」
「…お邪魔しますっ」
少し悩んだ様子だったけど、そう言うと靴を脱いで、丁寧に揃えた。
「あの…お家の人は?」
苺は、俺の後ろをついて来る。
「仕事」
「そうなんだぁ」
母さんが居たら、俺の性格上家に上げることなんて、出来なかっただろう。
つまりは苺と二人っきりで…。
さっきの大和の発言で、変に意識してしまう。
「…バカ」
「え?」
「ごめん、独り言」
苺を俺の部屋に、案内する。
「散らかってるけど…」
言いながらドアを開けると、苺は、
「えっ!!散らかってないよっ!…あたしの部屋の方が…」
と、ぶつぶつ言った。
何となくその姿が、愛らしくて笑ってしまう。
「何か飲む?」
「あっ、お構いなく」
お構いなくと言われても、何も出さないわけにはいかない。
「じゃあ、適当にそこら辺に座ってて」
「はいっ」
苺を部屋に残して、俺は台所に移動した。
冷蔵庫を開けると、牛乳とアップルジュース。
一瞬、冗談で牛乳を持って行くことを考えたが、さすがに止めて、
「えーと…」
食器棚から、来客用のグラスを出して、ジュースを注ぎ、それを持って部屋に戻った。