ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
戻ると、苺は床に正座して、待っていた。
「はい」
ジュースを差し出す。
「あっ、ごめん。ありがとう」
苺は受け取って、笑った。
俺はそのまま、苺と同じく床に座る。
「足、痛くない?崩せば?」
「大丈夫だよ♪」
崩せばいいのに崩さない。
靴を揃えるとこといい、苺は意外とこういうところは、しっかりしている。
「何で大和と一緒に?」
「裕くんに会いに教室行ったら、結城くんが来て…」
「連れてこられたってわけか…」
「うん」
頷いた後、苺は「でも」と続ける。
「連れて来てくれたんだと思う」
そう静かに言って、苺はグラスに口をつけた。
大和のことだから、きっと俺達を思ってのことだろう。
…知っているから、一緒に過ごさせようとしてくれる。
アイツと長年仲良く出来るのは、実はすごく人思いな奴だからだ。
「ってか、先に帰ってごめんな」
「ううんっ!約束してなかったんだし…気にしないで!」
苺の、その笑顔に救われる。
でも、その笑顔に甘えすぎてたんだ…。
「何かあった?」
「え?」
「何かあったから来たんじゃねぇの?」
「あ…あのね…」
苺が何かを言おうとした時、
ピンポーン…
タイミングよく、玄関のチャイムが鳴った。