ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
カツカツカツ…
図書館には人が少なく、シャーペンを走らせる音がよく響く。
ただ書き写しているだけじゃなく、意味も理解しながらやっているつもりだ。
「津田ー…」
声を抑え気味で呼ぶ。
「ん?何?」
「ここの訳し方何でこうなんの?」
「うーん………」
津田は考え込んでしまった。津田の問題集には、答えが書かれているのに。
もしかして…
「中野の写した?」
「な、なんで知ってんのっ!?」
津田はいつもより大きめの声を出した為、周りに居た数人がこっちを見た。
恥ずかしそうに周りに頭を下げた後、「うん」と頷いた。
「津田って成績どんなん?」
「決して良い方ではありません…」
「じゃあ、クラス順位何位?」
「言えないよっ!」
「大まかに」
「…後ろから4番目」
小さな声で、津田は答えた。
「大まかじゃねーし!言ってるし!」
今度は俺が普通に笑った為、やはり周りの数人に見られた。
「あぁ〜…。西藤くんはどうなのよ?」
「中盤」
余裕の笑顔。
「負けたっ…」
津田は本当にショックっぽかった。
俺はワースト3に入っているように、思われていたのだろうか…。
「宿題写してばっかだと、ワースト3に入るぞ〜、頑張れな」
そう言って頭をぽんっと撫でると、津田は少し顔を赤らめた。
また、勉強に戻り1時間ちょっと過ぎたくらい…。
津田の異変に気付いた。