ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
廊下を駆け抜ける。
ダメだ…
思い出したら…笑えなくなる。
ガタンッ
トイレの鍵をかけて、壁にもたれた。
「はぁっ…はっ…」
ドクンッ…ドクンッ…
胸が苦しいのは走ったから。
でも、胸が痛いのは−…。
ポケットから携帯を取り出して、サイドボタンを押す。
すると、サブ画面には【新着メール1件】の文字。
カチッ
携帯を広げる音が、よく響く…。
送り主は裕くん。
【おはよう先に行ってごめん。今日一緒に帰る?】
絵文字使ってる…。
心配してる…。
【ごめん今日掃除当番なんだだから先帰って勉強がんばってね】
掃除当番なんて嘘。
送信ボタン押さなきゃ…
だけど押したら、
一緒に帰れない−…。
「っ…」
カチッ
【送信しました。】