ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「じゃあ、津田さんは指定校だから…小論文ね?」
「はい」
「一回書いて、先生の所に持って来てね」
「はい」
「うん、じゃあもうこんな時間だし…帰っていいわ」
先生の机の上の置き時計を見ると、もうすぐ19時になろうとしていた。
「遅くなってごめんね?気をつけて帰るのよ?」
「はいっ、ありがとうございました」
椅子を立ちながら微笑んで、あたしは職員室を後にする。
先生との面接。
あたしが一番最後で、こんな時間になってしまった。
面接時間は短くなったけど、すっかり遅くなってしまったから、ラッキーなのか、そうでないのか分からない。
受験は、初めに希望していた通りの、地元の女子短大を、指定校推薦で受ける事になった。
廊下の窓から見える景色は…真っ暗で何も見えない。
早く帰らなきゃ…。
鞄を取りに2階へ上がると、どの教室も電気は消えて…
あれ?
あたしの教室…2組の少し向こう側に、一つだけ電気が付いている教室がある。
まだ誰か居るんだ…。
誰か居ることに、少しホッとしながら、教室に入り鞄を取った。
「…」
普通ならこのまま帰るだろう。
でも、何かがあたしを引き止めた。