ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
電気がついてるのって、5組かな…?
5組…裕くんのクラス。
裕くんが居るってわけじゃないのは、分かってる。
だけど最近、学校で先生に勉強を教わってるって聞いた。
そんな余計なことが、あたしを期待させて…
裕くんが残っているんじゃないかって、思ってしまう…。
ゆっくり足を進めて5組に近づくと、教室のドアが開いていることが分かった。
そっと教室の中を覗いてみる。
ッドクンッ!
見た瞬間、息が止まりそうになった。
教室の中には一人。
机に頬杖をついてる男子。
こっち側に頬杖をついてるせいで、顔は見えないけど…あたしには誰だか、すぐに分かった。
あたしの期待通り…。
「裕くん…」
つい声を漏らしてしまった。
のに、裕くんはこっちを見ない。
あれ…?
不思議に思い、教室の中に入る。
静かな教室に、あたしの足音が響くけど、やっぱりこっちを見ない。
無視…されてるのかな…?
少しの不安。
だけど、まるで引っ張られるみたいに、足を止めることが出来ない。
頬杖をついている反対側…つまり、顔が見える方へ回り込んだ。