ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
穏やかに眠る顔…。
どんな夢を見ているんだろう。
あたしは出てる…?
好きで、
好きで、
愛しくて、
触れたくなる。
そっと手を、裕くんの顔へと伸ばす…。
裕くん−…。
「んっ…」
「!?」
触れるか触れないかの所で、裕くんは目を覚ました。
あたしは焦って手を引っ込めて、反射的に走り去ろうとした。
けど、
ぐんっ
走れない…。
振り返って見ると、あたしの肩にかけた鞄を、裕くんが掴んでいた。
「…何で逃げんの?」
眠いのか、だるそうに言う裕くん。
「えと…あの…」
自分でも、どうして逃げようとしたのか分からない。
分からなくて、返事に困ってるあたしを見て、裕くんは笑う。
そして、鞄を掴んだ手を離した。
「一緒に帰ろう」
裕くんは優しくあたしに微笑んで、机の上に散らばった教科書やノートを、片付け出した。
何だろう…胸が…変な感じ…。
「…うん」
断る理由もなくて、あたしは遅れて頷いた。