ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
静かな夜の道を、二人で歩く。
本当に真っ暗で、一人だったらきっと、すごく怖かっただろう。
一人じゃないこと、何より一緒に居る人が、裕くんだということに感謝する。
「大丈夫?」
「え?」
「寒くない?」
「あっ、うん」
咄嗟に笑顔で返事をしたけれど、よくよく考えたら、「寒い」って言えば良かったかもしれない。
「寒い」って言ったら、どうしたんだろう…なんて、考える。
裕くんの顔を見上げると、裕くんは微笑んだ。
あたしも微笑み返そうとするけど…
どうして…?
笑えない。
胸がざわざわとざわついて、苦しくなる。
「今日遅かったんだねっ」
訳の分からない自分の気持ちを紛らわすように、あたしは口を開いた。
「あぁ。ちょっと先生と話し込んだりしてたから。苺は?」
「あたしはっ…」
言うのを一瞬ためらった。
嫌なことを思い出したから。
「……進路面接で…」
「そっか…。そういえば、苺の進路は?やっぱ進学?」
「うん…女子短大」
言いながら、違うことを考える。
考えることは、
裕くんの進路…。