ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

前進。

☆裕也side☆


「…裕也っ!」

賑やかな周りの音の中から、俺を呼ぶ声が、微かに聞こえた。

賑やかなのは、今日が文化祭だから。

高校最後の文化祭。
俺は何をするわけでもなく、一人で居た。
友達がいないわけじゃないけど、大人数で過ごすのは、好きじゃない。

「裕也どういうことだよっ!?俺、聞いてねぇぞ!」
「大和…いきなり何?」
「苺ちゃんのことっ!」

そのことか…。
意外と情報回るの遅かったんだな、なんて呑気に思う。

「とりあえず手、離せって」

俺は自分の胸ぐらを掴んだ、大和の手を見た。
すると、大和はパッと手を離す。

俺が歩き出すと、大和も俺を追い掛けるように、歩き出した。

「なぁマジっ?マジで別れたわけ?」
「あぁ…」
「何でっ!?まさか進学が原因かっ!?」
「あぁ…フラれた」
「いつ!?」

少し面倒臭いと思いながらも、返事をする。

「…数週間前」
「それでいいのかよっ!」
「…」

いいかと言われれば、そりゃあ良くないに決まってる。
今でも変わらず、苺のことを想ってる。

だけど、

「良いも悪いも、しょうがねぇじゃん」

苺が「別れたい」と、言ったんだから。
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