ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
後ろからはメグちゃんが、あたしの荷物を持ってついて来る。
川原くんと結城くんは、そのままその場に居た。
「ごめんね…苺」
廊下に出た所で、由紀ちゃんが小さな声で言った。
「…」
これから、どこへ連れて行かれるのか…それを考えたら「いいよ」とは言えなくて、何て言えばいいのか分からない。
「無理矢理こんな事するの、良くないって分かってる。だけど…ほっといたら苺、ずっとこのままな気がするから」
当たってると思う。
あたしは何も、行動を起こせなくて…。
「結城くんから聞いたよ」
「え…」
「王子、K大行くんでしょ?」
「−…」
メグちゃんを見ると、静かに頷いた。
「離れるの寂しいの分かるよ?遠距離でも大丈夫だよ…なんて、わたしだって言えない」
「なら…」
どうしてこんな事するの?って心の中で思う。
「でもさ、今近くに居るんじゃん」
真っ直ぐあたしを見る由紀ちゃんの目は、少し潤んでいる気がする。
「…近くに居るうちに、自分の気持ち伝えておいで。今の苺、別れたくせに、まだ好きって気持ち、見え見えだよ?」
自分の気持ち…
好きって気持ち…。