ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「…何?」
もう一度、静かに裕くんが聞いた。
「あのっ…」
何かを口にしようとするけど、言葉にならない。
怖くて顔も見れない。
「…」
数秒経って、裕くんはまた机の方へ向き直し、あたしに背中を向けた。
さっきまで自分が目を背けていたくせに、裕くんに背を向けられると、
寂しくて…
悲しくて…
自分勝手だ。
“苺先輩も頑張れ”
ふと、翔くんの声を思い出した。
ダメだよ…。
あたし…どうしたらいいか分からないよ。
どうしたいのか分からない…。
こんな自分がもどかしくて、はがゆくて、目に涙が溜まる。
滲んで見える裕くんの背中…。
こんなに近くに居るのに、何も出来ない。
やっぱり…裕くんはもう、何も思ってないのかもしれない。
背中を向けられた意味は、そういうことかもしれない。
なのに、期待してたんだ。
少し優しくされただけなのに…。
自分から別れを告げたはずなのに…。
あたし…バカだね。
静かに目を閉じると、溜まった涙が一筋落ちた。
あたしは荷物を持って、裕くんに背を向ける。
由紀ちゃん、メグちゃん、翔くん…みんなごめんね。
やっぱり無理だった…。
ゆっくりと足を進めた。