ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

それはとても小さな声だったけど、近くに居たあたしには、はっきり聞こえた。

“離れんな”

ポタッ…

涙が音を立てて、あたしに回された裕くんの腕に落ちた。

ちがう…

違うよ…

「…離れていっちゃうのは…裕くんの方だよっ…」

さっきまで何も言えなかったはずなのに、あたしの口からは、糸が切れたみたいに言葉が零れる。

「あたしはずっと一緒に居たかった…だけどっ裕くんが離れていっちゃうんだよっ…」

目からはとめどなく涙が。

「苺…」

裕くんはふいに、あたしに回した腕を解こうとした。
だけど、あたしは裕くんの腕を、離さないように掴む。

「やだよっ…寂しい…」

泣きじゃくるあたし。
口から出てくるのは、間違いなく本音。

「裕くんのばかぁっ…」

「ごめん」

裕くんは回した腕に力を入れる。

だけど、痛くはない。

優しく…強く…抱きしめられてて、

離れたくないって思った。
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