ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「俺…ずっと苺が好きだから」
“好き”
ちょうど1年前に貰った言葉。
別れたのに…まだ想ってくれていることが嬉しくて…
涙が勢いを増して、流れ落ちる。
だけど…
だけどね…
「好きって言ってもらう資格ないよっ…」
別れた理由は、寂しいだけじゃない。
「たしっ…大学っ…裕くんが落ちればいいって思った…」
これも…醜い気持ちも、
本当の気持ち…。
「っ…ごめんねっ…」
こんな醜い自分が嫌で、別れを告げた。
付き合っていたら、もっともっと心が醜くなってしまう気がしたから。
「…いいよ」
静かに裕くんは続ける。
「もし…立場が逆だったら…俺だって同じこと思ったと思う」
片腕をほどき、今度はあたしの頭を優しく撫でる。
「それにさ…今、嬉しい」
嬉しい…?
思いがけない言葉。
「どうして…?」
不合格を願われて、嬉しいはずなんかないのに…。
「苺がこんなに想ってくれてるから」
裕くんは頭を撫でる手を止めて、自分の方へ引き寄せるように、抱きしめた。
こつん
裕くんの顎が、あたしの頭に軽く当たる。