ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
西藤くんは、誰かと待ち合わせをしているようで、まだ図書館に居ると言った。
あたしは荷物をカバンに詰めて、一足先に図書館を出た。
…?
前から白いワンピースの女の人が、走ってくる…。
止まる気配はない。
泣いてる…?って、ぶつかるっ!
「「きゃっ!」」
反射的に横によけようとしたが、肩がぶつかって、肩に下げていたカバンが落ちた。
「ごめんなさい!」
謝りながら女の人は、バッグを拾ってくれた。
さらさらストレートのロングヘアー…。
歳は同じくらいか、少し上だろうか。
背は由紀ちゃんよりも…ううん、うちのクラスの女子の誰よりも高い。
だけど、細くて、顔もかなり整っていて…すごくすごくキレイな人。
泣いてるように見えたのは、気のせいだったのかな?
「あの…?」
「あっ、ごめんなさいっ!ありがとうございます!」
芸能人以外でこんな人居るんだ…と、つい見とれてしまっていた。
軽く会釈をして、また歩き出す。
すごくキレイな人だったなぁ…。
あのくらいになれば、西藤くんだって意識してくれるかな?
「あ!早く帰らなくちゃ!」
あたしは足を速めた。
ストレートヘアの女の子は、図書館に入ろうとしたが足を止め、振り返った。
「あの子……」