ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

迷惑だと思ってた気持ち…醜いと思ってた気持ち…

それは迷惑ではなくて、醜くなんかない。

人を思う…好きが故の気持ちだから…。

そう思うと、心の重荷が取れたみたいに、すうっと軽くなった。

涙の意味も次第に変わる。

大切なのは…

「裕くんが…好きっ…」

素直な気持ち。

「一緒に居たいよっ…」

今だけは弱音を吐かせて。

これだって、素直な気持ちだから。


裕くんは黙ったまま、抱きしめる。

あたしはそのまま泣いた。
背中には、裕くんの温もり。

泣いて…

泣いて…

どれだけ泣いても…

寂しい気持ちは消えない。

だけど…

涙が一粒、また一粒落ちる度、気持ちの整理がついていくような気がした。

あたしはゆっくり裕くんの腕を解いて、向き合う。

顔を上げて、裕くんの顔を見る。

不思議だね…

側に居るほど、裕くんは背が高くて…

あたしとの高さの、“距離”を感じるの。
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