ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
机の上にメグちゃんのアルバムを置いて、自分の鞄を開ける。
「苺ちん、これ何?」
鞄の隣に置いた紙袋を、メグちゃんは指差した。
「あ…ちょっとね」
「ふーん」
あたしは紙袋を机の横にかける。
忘れないようにしなきゃ…。
「メグちゃん、はい♪由紀ちゃんも書いてね!」
メグちゃんに、自分のアルバムを手渡すと、
「わかった。じゃあ、わたしのも…」
言いながら、由紀ちゃんも鞄を開ける。
「メグ、由紀ちんのは書かないよぉ〜?」
メグちゃんは笑いながら言う。
「わたしもメグのは書かないよ。苺のだけっ♪」
あたしの体は由紀ちゃんに、抱きしめられるように、引き寄せられた。
「あぁー!苺ちんはメグのなのぉ!」
また頬を膨らますメグちゃんだけど、
すぐにあたし達は笑い合った。
こんな些細な日常が、
幸せで…。
「由紀ちん、メグにも書いてよね」
「どうしようかなぁ?」
あたしの席を離れる二人から、そんな会話が聞こえて、苦笑した。
周りを見ると、大半の女子がアルバムを回し合っている。
昨日から、アルバムの白いページにメッセージを書くのが、女子の間で広まっているから、不思議な光景ではない。