ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


広い体育館に響く、答辞を読む生徒の声と、

すすり泣く音…。


そんな中、ずっと頭の中で考えてるのは、一人の女の子のこと…。

苺も泣いてるのだろうか。

クラスが違うから、姿を見ることはもちろん、捜すことも出来ない。
けど…苺の性格上、きっと泣いているんだろうと思った。

今までは、どうして卒業式で泣くのか理解出来なかった。
でも、今は理解できる。

卒業は新たな旅立ちの日。
祝福すべき日。

それなのに涙を流すのは、

離れたくない人が、
離れたくない日々が、

ここに詰まっているから−…。



最後のHR、大半の女子が泣いていた。

先生の言葉は、いつになく感動的に聞こえる。

それでも、俺の頭の中は苺のことでいっぱいで…早く会いたかった。

だからHRが終わってすぐ、教室を出たのに…

「待って」

廊下で待つ、沢山の人の中から、すごく聞き覚えのある声がした。

声の方を見ると、上品にニコりと微笑んだのは…麗奈。

「せっかく来たんだから、挨拶くらいしようよ?」
「そうそう」

麗奈の言葉に、誰かが相槌を打つ。
振り返ると、大和が立っていた。
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