ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「麗奈さん、こんにちは」
「こんにちは、大和くん」
笑い合って、挨拶する二人。
麗奈は幼なじみで、大和とは古い付き合いだから、もちろんお互い知り合いだ。
「ひどいよね、裕ちゃん。あたしが来てるの、知ってるのにさー」
「そうっすよね、罪な男ですよ」
「…」
二人はこっちを見るけど、呆気に取られて言葉は出ない。
麗奈が来てるのは知ってた。
大学が春休みに入って、俺の卒業を祝いに、こっちに帰ってきてくれたらしい。
それは有り難いけど…。
麗奈とは4月から、また毎日会えるから、今は…
「もうそんな顔しないのっ!」
どうやら思っていたことが、顔に出ていたらしい。
「すぐに帰るから」
麗奈は、ふっと微笑んだ。
きっと、俺の気持ちを分かってる。
大和もへらへら笑ってる。
何だか…負けたような気分だ。
でも不思議と、嫌な気分じゃない。
「裕ちゃん、卒業おめでとう。大和くんも」
「ありがと」
「あざーすっ♪」
麗奈の笑顔は相変わらず、花が咲いたみたいだ。
綺麗すぎる笑顔。
この笑顔に憧れた時もあった。
だけど、
「早く行きたいんでしょ?」
声を出すわけじゃなく、頷くわけでもなく、麗奈の質問に笑顔で答えた。