ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪

あたしは由紀ちゃんとメグちゃんに挟まれて笑った。

…ピッ

フラッシュと軽快なデジタル音が、また思い出を残す。

「ありがとう」
「いいよ〜」

あたしはクラスメイトから、デジカメを受け取る。

みんなが最後に写真を撮る中、あたし達も例外ではなかった。

「さーて、メグは行きますかぁ♪」

一通り撮り終えたメグちゃんは、何やら意気込んでいる。

「どこ行くの?」

由紀ちゃんが聞くと、

「戦場♪」

メグちゃんは不敵に微笑んだ。

「…え?」
「苺ちん、ボタンだよぉ。ボ・タ・ン♪大和のボタン貰いにぃ♪」
「あっ!」

そういうことかと、納得する。

結城くんは結構カッコよくて、モテる。だから、きっとボタンを欲しがる女の子はいっぱい居て…“戦場”なのだろう。

「苺ちんも早く行かないと、なくなるよぉ?」
「あ…うん」

確かにそうだろうなぁと、苦笑する。
でも、行っても周りの女子達に、睨まれるだけのような…。

「じゃあ、行ってくるぅ♪」

メグちゃんは短いスカートを、ひらひらさせながら走って行った。

「由紀ちゃんは行かないの?」
「ん?どこに?」
「川原くんの所」
「あー…いいや。あいつのボタンとかいらないし。どうせ部活の集まりあるでしょ」

腕組みをして、さらりと言う由紀ちゃん。

確かに由紀ちゃんはそんな性格じゃないけど、少し川原くんが気の毒な気もする。
< 400 / 494 >

この作品をシェア

pagetop