ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「翔くんっ!」
「おめでとうございます!」

振り返ると、笑顔で祝福してくれる翔くん。
あたしも笑顔にならずには、いられない。

そして、

あたしの前に立った翔くんに、また…違和感を感じた。

屋上で話した時も感じた、違和感…。

あの時は気付かなかったけど、

「翔くん…背、伸びた?」
「うん、伸びた!」

満面の笑みで、ピースする翔くん。

「やっぱり!?高くなったね!」
「まだまだ発展途上だけど♪」

感じた違和感は、背が高くなったからだったんだ。
翔くんの顔を見る、視線の高さが変わった。

裕くんに比べると、まだ低いけど…
確実に高くなってた。

「いいなぁ…」

小さい者同士だと思っていたのに、少し羨ましい。

「先輩は今のままが、一番可愛いよ。西藤先輩だって、そう思って…」

言葉の途中で、翔くんの口は止まった。
そして…

「良かったじゃん」

裕くんと仲直り出来たことだと、すぐにピンと来た。

翔くんは、優しく笑ってくれた。

「ありがとう…」

嬉しいけど、何だか照れてしまって俯いた。

でも、仲直り出来たのは翔くんのおかげでもある…。

「翔っ!」
「佳奈」

あたしが顔を上げようとした時、翔くんは誰かと呼び合った。
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