ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
“かな”…?
そう呼ばれたのは、翔くんよりも背が高く、ポニーテールが印象的な女の子。
この子、どこかで…。
「やっと見つけた。先輩達待たせてるんだから、早く来てよ」
「もうみんな集まってんの?」
「翔以外ね。本当に早くして」
なんてことのない普通の会話。
だけど、あたしには分かった。
翔くんが好きな女の子は、きっとこの子だ…。
「苺先輩、俺バレー部の集まりがあって……苺先輩?」
「えっ…あ、うん!」
あたしは佳奈ちゃんを、あまりに一生懸命見ていて、返事が遅れる。
すると、視線に気付いたのか、目が合った。
「どうもすみません」
「いえいえっ!」
頭を下げられて、あたしも下げ返す。
少しきつめな雰囲気の彼女は、どこかで見た気がするのに…やっぱり思い出せない。
「あ!苺先輩、ボタンちょうだい♪」
「えっ!?」
本気だったの?
と、少しびっくりするけど、
「わたしも下さい」
「え…?」
佳奈ちゃんには、もっと驚いた。
「ダメですか?」
「いや…そんなことないですよ!」
何故かあたしも、敬語になってしまう。
「じゃあ、失礼します」
佳奈ちゃんはしゃがんで、あたしのボタンに手をかけた。