ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
ドキン…ドキン…
前もこんな風に、捕まえられたことがあったと思い出す。
あの時は図書館だった…。
「苺…誰?」
「えっと…」
少し逸らしていた視線を、裕くんに戻すと…
息が止まる。
だって、真っすぐにあたしを見つめるから…。
「バレー部の女の子と…」
「と?」
“バレー部の女の子”には、大して興味を抱いてはくれない。
じっとあたしを見つめる瞳に、吸い込まれてしまいそう…。
嘘…つけない−…。
「…翔…くん」
「ふーん…」
裕くんはいかにも、“気に入らない”って顔をする。
分かってたくせに…ずるい。
そして、正直に話したのにも関わらず、フェンスにかけた手を、裕くんは離してくれない。
近くでずっと顔を見られて、
ドキドキして…しょうがない。
「じゃ、お仕置き」
言ってすぐ、裕くんは顔を近付ける。
えっ−…!?
あたしは咄嗟に、図書館の時を思い出した。
またおでこにキスっ!?
だんだんと近づく裕くんの顔に恥ずかしくなって、あたしはぎゅっと目を閉じた。