ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
ゆっくりとドアを開けると、眩しい光に一瞬目が眩む。
対面した、大きな掃き出し窓から真っ直ぐ入る、太陽の光が床に反射して、明るい部屋を一層明るくさせている。
そんな中、真っ先に目に入ったのは、
白いタキシード。
柔らかく優しい微笑み。
「お兄ちゃん…」
今までに見たことのない、お兄ちゃんの姿にドキッとする。
その気持ちを隠す様に、あたしは「おめでとう」という、言葉を付け足した。
「ありがとう、麗奈」
「ううん」
あの日から…微笑み返すことが、自然に出来る。
あの日から…白いタキシード姿のお兄ちゃんの隣に、自分を重ねることはない。
想いを告白した“あの日”から、
あたしの心の中の、お兄ちゃんの隣に居るのは…
「麗奈ちゃん」
細く、か弱い声。
呼ばれた先を見ると、兄より輝いて見える人が居た。
純白のドレスが眩しい。
「沙季さん、おめでとうございます」
あたしは頭を軽く下げた。