ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「麗奈ちゃんは、彼氏とかいないの?」
「え…」
唐突な質問。
「麗奈ちゃん美人だから、絶対いるでしょ?」
スタイリストさんが真横に居るにも関わらず、沙季さんは遠慮なく話す。
おっとりとした外見とは裏腹に、意外とお喋りなのかもしれない。
「それが…いないんですよ」
「えぇっ!?本当にっ!?」
「あっ、動かないで下さい」
そんなに驚く事ではないだろうに、驚いた沙季さんは顔をこっちに向けようとして、スタイリストさんに怒られた。
「ごめんなさい」と、小さく謝る姿は、何となく可愛い。
目の前の鏡で再び沙季さんと目を合わせて、あたしは口を開いた。
「あたしの好きな人ってみんな、他の人を選ぶんです。
お父さんは今のお母さん。
高校の時に付き合ってた幼なじみは、同級生の女の子。
それから…」
「それから?」
無邪気に首を傾げる沙季さん。
そんな彼女がほんの少しだけ疎ましく思えて、意地悪を口にする。