ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「大和の制服ちょーだいっ!!」

「はぁ!!??」

メグは素早く大和のブレザーを掴んで、抵抗される前に引っ張る。
ボタンがないおかげで、簡単に脱がすことが出来た。

「えへへー♪もーらいっ♪」
「間っ!」

大和はメグの腕の中の制服を、奪い返そうとするけど、そうはいかない。
メグはするりと大和をよけて、両手でしっかりと抱え込んだ。


「卒業しても、彼女なんか出来る隙がないくらい、付き纏ってあげる♪

大和、ありがとぉ!!」


みんなに聞こえるくらい、大きな声を出した。

みんなに見て、聞いて欲しかった。


大和の制服を、貰ったこと。

4月からも大和と、繋がっていられること。

少しだけ…メグはみんなよりも特別な存在なんだと、思って欲しかったし、思いたかった。


メグはそのまま、大和の止める声も聞かずに、走り出す。


大きなくしゃみが、後ろから聞こえた。


腕の中には大和の制服。

まだ温かくて、

走って揺れる度に大和の匂いがする。

“幸せ”を胸いっぱいに、感じてた−…。
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