ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
そして、学校は文化祭一色になる。
部活をしている奴は、練習そっちのけで、店の準備に追われる。
文化祭目前にもなると、授業は準備の時間に当てられる。
麗奈も、慌ただしくしている一人だった。
「あっ!裕ちゃん、ちょっと手伝って!」
廊下で会った麗奈の手は、段ボールで塞がっていた。
麗奈から段ボールを受け取る。
「重てぇ」
予想以上の重さ。
「これ何入ってんの?」
「ウェイトレス服ー♪女子テニス部は喫茶店する事になったの」
「へぇー…」
あれから、麗奈は真面目に、テニス部の活動をしている。
明人さんは…彼女と仲直りしたという事を、少し前に聞いた。
「まぁ、これでいいんだよ。あたしは妹なんだし」
そう笑った麗奈だけど、内心は辛くて、部活で気を紛らわしているのだろう。
段ボールを運んでいると、前方から小さな人影が近付いてきた。
「西藤くん居たーっ!」
「津田、何かあった?」
「部活がない人は教室展示の準備だよ?先生探してたから…」
「あぁ!わりぃ」
すっかり忘れてた。