ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
名簿の次を開くと、学校の沿革がずらりと並んでいるだけで、あたしはアルバムを閉じようとした。
…あれ?
瞬間的に、何やらカラフルなページが目に入った。
確かめようと、もう一度アルバムを開く。
「あ…!」
見た瞬間、これは自分のアルバムだと分かった。
元は白かったであろう、最後のページ。
そこには、
『苺へ』『Dear いちご』など、あたしの名前から始まるメッセージが、沢山書かれていた。
と、その中で1つのメッセージに目を引かれる。
みんなカラフルなペンで書いているのに、それだけ黒のペンだったから、逆に目立ったのだ。
「−…」
すっかり忘れていた。
そういえば、こんなこと…書いてくれてたんだ。
「ままーっ!」
タタタと廊下を走って来る音。
「きゃっ」
振り向くと、後ろから小さな女の子が抱き着いて来て、あたしは小さく声を上げた。
「おそうじおわった?」
掃除機の音が、しなくなったからだろう。
女の子は大きな目で、あたしを一生懸命に見ながら聞く。