ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


裕ちゃん、“彼氏”になってくれないかなぁ?

彼氏になってくれないかなぁ?

彼氏に…なって…


さっきの藤堂先輩の言葉が、頭の中で何度も何度も繰り返される。


彼氏…告白?
まさか、あんなノリで告白なんてしないよね…。

西藤くんも、よく分からないまま連れて行かれた…って感じだった。

何なの…どういう事?

ただ分かっているのは、今どうしようもなく心がざわついて、苦しいという事だけ。


「…だ…津田さんっ!」
「は、はいっ」

目の前には先生。
いつの間にか、教室に着いていたみたいで、考え事をしていたから分からなかった。

「西藤見つかったか?」
「はいっ、でも…何だか他の先生に準備を手伝うように頼まれたみたいで…。終わり次第こっちに戻るって言ってました」
「そうか…分かった、ありがとう。じゃあ津田は準備に戻ってくれ」
「はい」

先生は、サボりではないと確認して安心したのか、教室から出て行った。

あたしはまた展示の準備に戻る。
由紀ちゃんは、バスケ部に入部したのでここにはおらず、教室に居るのは、あまり話した事のない女子ばかりで心細い。

藤堂先輩の言った事も、もちろん気になる。

だけど今は…

西藤くん早く帰ってこないかな…

っていう、気持ちの方が強かった。
< 51 / 494 >

この作品をシェア

pagetop