ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

そんな、あたしの気持ちとは裏はらに、西藤くんが帰ってきたのは、準備が終わった頃だった。


「津田、ありがとな」

西藤くんは教室に入って真っ直ぐにあたしの所に来てくれた。
それが何だか嬉しい…。

「どういたしまして♪」
「ってか、もしかして準備終わった?」
「見ての通り」

西藤くんは苦笑いをする。

「大丈夫だよ、写真とか貼ったりするだけで、そんなにたいした準備じゃなかったから」
「よかった」

ホッとした様子で、西藤くんは笑う。

それより、あたしが気になるのは…

「藤堂先輩の方は大丈夫?」
「あぁ」

………。

“彼氏”の意味が気になって、探りを入れたつもりだったのに、普通に返事で返されてしまった。


結局、何も聞けず、あたしが意味を知ったのは文化祭当日―…。
< 52 / 494 >

この作品をシェア

pagetop