ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
そんな、あたしの気持ちとは裏はらに、西藤くんが帰ってきたのは、準備が終わった頃だった。
「津田、ありがとな」
西藤くんは教室に入って真っ直ぐにあたしの所に来てくれた。
それが何だか嬉しい…。
「どういたしまして♪」
「ってか、もしかして準備終わった?」
「見ての通り」
西藤くんは苦笑いをする。
「大丈夫だよ、写真とか貼ったりするだけで、そんなにたいした準備じゃなかったから」
「よかった」
ホッとした様子で、西藤くんは笑う。
それより、あたしが気になるのは…
「藤堂先輩の方は大丈夫?」
「あぁ」
………。
“彼氏”の意味が気になって、探りを入れたつもりだったのに、普通に返事で返されてしまった。
結局、何も聞けず、あたしが意味を知ったのは文化祭当日―…。