ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「では、彼氏さんに彼女さんのアピールをしてもらいましょ〜♪」
司会者の発言に、「ワー!」という、声援と拍手が起こる。
“彼氏”さん達はそれぞれのパートナーの女の子の、特技や良いところを紹介していく。
そして…西藤くんの番。
「では、西藤裕也くん、藤堂麗奈さんのアピールをお願いします♪」
「………」
えっ?無言?
そう思った時、
西藤くんは藤堂先輩をふわっと持ち上げた。
そう、それはお姫様抱っこ−…。
「よろしく」
西藤くんが言うと、「きゃーっ!」と言う黄色い声が起こった。
ちくん。
胸が痛む。苦しいよ。
隣に居る友達も、西藤くんの事好きって言ってたのに、
どうして笑って「きゃあ」なんて言えるの?
藤堂先輩は笑いながら手を振っている。
もう見たくない…。
「ごめん、あたし人に酔っちゃったみたい。他の場所行くっとくね!」
「大丈夫〜?ついて行こうか?」
「一人で平気!由紀ちゃんの所にでも行っとくから!」
あたしは、西藤くんと藤堂先輩に背を向けて、走り出した。