ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*


「では、彼氏さんに彼女さんのアピールをしてもらいましょ〜♪」

司会者の発言に、「ワー!」という、声援と拍手が起こる。

“彼氏”さん達はそれぞれのパートナーの女の子の、特技や良いところを紹介していく。


そして…西藤くんの番。


「では、西藤裕也くん、藤堂麗奈さんのアピールをお願いします♪」
「………」

えっ?無言?

そう思った時、
西藤くんは藤堂先輩をふわっと持ち上げた。
そう、それはお姫様抱っこ−…。

「よろしく」

西藤くんが言うと、「きゃーっ!」と言う黄色い声が起こった。


ちくん。

胸が痛む。苦しいよ。

隣に居る友達も、西藤くんの事好きって言ってたのに、
どうして笑って「きゃあ」なんて言えるの?

藤堂先輩は笑いながら手を振っている。

もう見たくない…。


「ごめん、あたし人に酔っちゃったみたい。他の場所行くっとくね!」
「大丈夫〜?ついて行こうか?」
「一人で平気!由紀ちゃんの所にでも行っとくから!」

あたしは、西藤くんと藤堂先輩に背を向けて、走り出した。
< 56 / 494 >

この作品をシェア

pagetop