ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「津田…お前すげぇ軽いな」
「そうでもないよ」
「いや、軽い。ちゃんと食ってんのか?」
「食べてるよっ!背が低いから軽いんだよっ!」
「背、分けてやろうか?」
「分けて分けて!」
「無理〜。分けれるもんじゃねぇし、分けれてもやんねぇ」
「いじわるっ!」
普通に接しているけれど、内心はドキドキしてしょうがなかった。
体もぴったりとはくっつけられずに、少し離していた。
西藤くんの背中は広くて、
体が触れている所からは温かさを感じる…。
恥ずかしいから早く降りてしまいたいけれど、西藤くんの足が進む度に「もっとゆっくり歩いて」と思う自分も居た。
「裕ちゃんっ!苺ちゃんっ!?どうしたのっ?」
玄関に居たのは、藤堂先輩。
あぁそっか…。今日も二人は一緒に帰るんだ…。
「津田が足ひねったみたいでさ」
「すぐ保健室行って冷やさないと!苺ちゃん、大丈夫?」
「はい」
あたしはそのまま、保健室に連れて行かれた。先生がいなかった為、藤堂先輩が氷水を作って冷やしてくれた。
西藤くんがメールで連絡してくれたみたいで、由紀ちゃんもすぐに来てくれた。
「苺、おばさんに連絡したら迎えに来るって」
「由紀ちゃんありがとう」
「じゃあ、あたし達は帰ろっか」
「そうだな」
藤堂先輩と西藤くんは鞄を持つ。
「じゃあね、苺ちゃん」
「あっ、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げる。
「あんま無理すんなよ」
「うん、ありがとう」
二人は並んで保健室から出て行く。
その姿はやっぱりお似合いで…。
藤堂先輩は“お姫様抱っこ”
あたしは“おんぶ”
西藤くんが王子と呼ばれるなら、姫は−…
きっと藤堂先輩。