ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


津田って面白れぇよなぁ…。

自分の部屋で漫画を読みながら、なんとなく俺は、津田の事を思い出していた。

誘われた映画も、津田と一緒だからなのか、楽しみな気がする。

そういえば、女子と2人で出掛けるなんて、麗奈以外なかった。
誘われる事はあったが、めんどくさいし、その度断ってきた。

なのに何で今回はOKしたんだ…?

何で…。


コンコン

誰かが部屋のドアをノックする。

「裕ちゃん、あたし。入ってもいいかな…?」
「麗奈っ!?」

入ってもいいと返事をするよりも先に、麗奈はドアを少し開けて顔を出した。

「どうしたんだよ?」
「どうもしない。用がないと来ちゃダメなの?」
「ダメって言うか…何かあったんじゃ?」
「ちょっとね…。今、家に帰りたくないの…かくまって」

麗奈は俺のベッドに腰掛ける。

「分かったよ」

きっと明人さんがらみだろう。だからあえて、それ以上は聞かない事にした。

「裕ちゃんの部屋に入るの久しぶりだね。あんまり変わってないなぁ…」

くすくすと麗奈が笑う。

「うるせー」
「褒めてるの。男の子なのに昔から妙に片付いてるんだよね」
「“妙に”が余計だっつーの」
「だって、そうじゃない?男の子って部屋汚いものだと思うんだけど」
「あ…」

「明人さんの部屋も綺麗だろ」と、言いかけてやめた。
今、名前を出すのはダメな気がして。

「裕ちゃん、雪降ってきた…」

窓の外を見ると結構大粒の雪が降っていた。

「明日積もるかな?」
「かもな」
「裕ちゃんの部屋で雪見てると、あの日を思い出すよ…」

麗奈は俺の目をじっと見る。

「裕ちゃんは覚えてる?“約束”した日…」
「…あぁ」

忘れるわけない。
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