ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

俺はベッド、麗奈は母さんが俺のベッドの横に敷いてくれた布団で、それぞれ眠る事になった。

「れなちゃん、れなちゃんゆきふってるよ!」

カーテンを開けて、降っている雪を見ながら言う。

「…」
「れなちゃん?」

返事がなく、麗奈の方を見ると…

麗奈は泣いていた。

今でもよく覚えている。
青白い外の光に照らされた、麗奈の泣き顔。

お姉さんで、いつも俺の手を引いて遊んでくれている麗奈が、泣いている事に驚いた。

「れなちゃんっ!?」

俺はベッドから飛び降りて、麗奈の横に座った。

「どぉしたの?」

「ひっく…さっ…さみしいの…っく…ママっ…パパとケンカ…かえってこなくって…っく…」

当時から麗奈の両親は、不仲だった。
それでも離婚しないのは、麗奈の事があったからだろう。
麗奈は子供ながら、それを感じていた。

「れなが…っく、わるいの…いい子にするから…サンタっさんっ…プレゼントもっいらないっから…パパとママ笑って……っ一人にしないで…ふぇっえー…」

そんな麗奈を見ていると、胸が苦しくなった…。

「れなちゃん、ひとりじゃないよ。ぼくがずっといっしょにいるから」

麗奈が本当に一緒に居たかったのは両親だろう。

「…っく、ほんと…?」

だけど、麗奈は俺の言葉を聞いてくれた。

「ほんと!!」

麗奈の小指に自分の小指を絡ませる。

「ゆーびきーりげーんまーん♪うそついたらはーりせーんぼーんのーます♪ゆびきった!」

俺が歌い終わると、麗奈は笑ったんだ。

「ゆうちゃん…約束ね!」
「うん!やくそく!ずっといっしょだよ!」

雪の降るその日は、手を繋いで寝た。


忘れるわけない…。

あれは、麗奈との“約束”で

小さな俺の告白だった―…。
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