ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「そうだよね…覚えてくれてるからこうやってずっと側に居てくれるんだよね?」
麗奈は視線を下に落とす。
「裕ちゃんはあの夜サンタさんがくれたプレゼントなのかな…」
「サンタは人をプレゼントするのかよ」
「うーん…しない?じゃあ裕ちゃんがサンタさん?」
「なんもやってねーし」
いきなり麗奈は立ち上がる。
「そんな事ないっ!裕ちゃんが居てくれるから、あたし頑張れるの。パパとママが離婚する時、笑ってママを送る事が出来たのだって…。…だから今回も」
コンコンコン
麗奈の話を遮るように、また誰かがドアをノックして、そのままドアを開けた。
「裕也、麗奈来てないかー?」
入ってきたのはスーツ姿の明人さん。
麗奈は明人さんを見て、ぱっと視線を外した。
「麗奈…どうしていきなり出て行ったんだよ」
「別に…」
「麗奈!」
明人さんが麗奈の腕を掴む。
「ほっといてよ!」
麗奈は明人さんの手をふりほどいて、部屋から出て行った。
とても仲の良い兄妹だから、ケンカなんて珍しくて、ア然としてしまう。
「…裕也、ごめんな」
「何かあったんですか?」
「俺にもよく…分からない。せっかく来てくれたのに…」
来てくれた…?
「彼女…ですか?」
「えっ、なんでわかった?」
「勘です」
明人さんに対して、麗奈が機嫌を悪くするなんて、原因は簡単だ。
だけど、麗奈の気持ちを知らない明人さんは、分かるはずもない。
これは、麗奈の気持ちの問題だから、俺は麗奈にも明人さんにも、何も言えなかった。