ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
由紀ちゃんと別れて、待ち合わせの駅まで歩く。

かなり寒いけれど、天気は良い。

青空に太陽が出ていて、じっとして風が吹かなければ、きっとポカポカと、太陽の暖かさを感じる事が出来るだろう。


いつもと違う目線の高さは、少しヒールの高いブーツのせい。

これで小さなあたしでも、少し西藤くんに近づけるかな…。
数センチ…この高さが欲しい。
そしたらあたしも少しは、西藤くんにふさわしい女の子に、なれる気がして。

藤堂先輩みたいにはなれないけど…。


前に図書館で勉強した事あるけど、その時とはまた違って緊張する。
会いたいのに会うのが怖い。
早く行きたいのに行きたくない。
不思議な気分…。

でも、あたしの足はきちんと、前に進んで行くから、

それが本当の気持ち。


会いたい。



だけど

その日、西藤くんに会うことは、なかったんだ。
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