ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


10時39分。
津田との待ち合わせは11時。
つまりはもう、あまり時間がない。

いつもの休みのように、寝過ごしてしまった俺は、焦って服を着替えていた。

また遅刻かっ!

さすがに2度は…と思いつつも、間に合わない事は確かだ。

遅れる事を伝えようと、携帯を探す。…が、こういう時に限って、なかなか見つからない。

時間は刻々と過ぎて行く。
焦りに焦っていたその時、

ピンポン、ピンポン、ピンポーン

誰かがチャイムを鳴らした。


「母さー…」

呼び掛けて気付く。今日は母さんも仕事だった。

3回も鳴らしやがってイタズラじゃねぇか?
近所のガキだったら、ぶん殴ってやる…。

なんて冗談めいた事を考えながら、仕方なく玄関へ向かう。

ピンポン、ピンポーン

あぁ…うっせぇ!

「はい!どちらさま……っ!?」

ドアを開けた途端、誰かが抱き着いてきた。

長いさらさらストレートの髪。

「裕ちゃんっ…」

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