ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「麗…奈?」
「っ…裕ちゃんっ…」
麗奈の細い肩は震えていて、小さくしゃくりあげる声が聞こえる。
麗奈は泣いていた。
「どうしたっ!?」
麗奈の体を自分から剥がす。
「お兄ちゃん…彼女と結婚しちゃう」
震える声で麗奈は続ける。
「今日お父さんに言ってて…分かってたんだけど…あたし…あたしっ!」
麗奈はまた、俺に抱き着いた。
「妹だから祝福しなきゃいけないのに出来ないよっ!辛い…辛いのっ、笑えないのっ…助けてよ、裕ちゃんっ!」
「………」
俺は何も言えずにただ、麗奈の頭を撫でる。
どうしたらいいのか…何を言えばいいのか分からない。
麗奈は泣き続けていて…
そんな時、ふっと思い出した。
津田っ!!
「麗奈っ、俺約束がっ!」
もう一度、麗奈の体を自分から離す。
「約束…?」
「俺、今日津田と約束してて…」
「津田…苺ちゃん?」
何故か、津田の名前を出した事に対して、“しまった”と思った。
「ごめん麗奈。早く行かないと…」
「行かないでっ!」
麗奈はまた抱き着く。
でも、さっきまでとは違う。
力を入れて、きつく…きつく…。
「あたしとの約束はっ?ずっと一緒に居るって約束したよね!?約束守ってよ!一緒に居てよ…一人にしないで…」
“一人にしないで”
その言葉は、幼い頃の麗奈と一緒で…
ふいに抱きしめ返していた。
すると、麗奈はまた泣き出す。
「裕ちゃん…あたし…裕ちゃん好きになる…」
「…はっ?」
一瞬、聞き間違いだと思った。
だけど、聞き間違いではなかった。
「…だから裕ちゃん…あたしと付き合おう?」