ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


「裕ちゃーん♪」

その声に、あたしは固まった。

せっかく西藤くんと、話せてたのにな…。

「苺ちゃんおはよう♪」
「おはようございます」

あたしが挨拶すると、すぐに藤堂先輩は、西藤くんの方に向き直る。

「もぉ裕ちゃん、彼女を置いて行くなんてひどくない?」

え…?

その言葉に驚いたのはあたしだけでなく、教室に居る全員がこっちを見た。

なんて…言った?

「あれ?みんなどうしたの?」

藤堂先輩は首をかしげる。

だから、今なんて…。

「せっ先輩、西藤くんと付き合ってるんですかっ!?」

言葉が出ないあたしをよそに、クラスの女子が聞いた。

「あぁ!それでみんなびっくりしてるのねっ!
うん♪この度、付き合う事になりました♪」

満面の笑みで、藤堂先輩は西藤くんの腕を組んだ。

うそ…。

「いつからですかっ!?」

みんな目を輝かせてる。

「うーんと…そう、クリスマスの前の日だったよねっ♪」

え…?その日って…。

「麗奈!」

西藤くんが、少し怒鳴るように言う。

「何?裕ちゃん、みんなに知ってもらってもいいでしょ?ね、苺ちゃん♪」
「え…あ…そうですね!おめでとうございます!」

とっさに話を振られて困った。

上手く笑えたかな…。

「ありがとう♪」

やだよ…。

あの日来なかったのは、
藤堂先輩と付き合ったから…?

ひどいよ…。

もう上手く笑えない。

涙が勝手に込み上げてきて、もうダメだと思った。
泣いてしまうと…。


「苺っ、プリント出しに行くの、ついて来て!」

由紀ちゃんは、強引にあたしの手を引いて、教室から出た。
< 77 / 494 >

この作品をシェア

pagetop