ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺、どうすんの?」
放課後―…。
返信は今もまだない。
同じクラスなのだから、直接言えばすむ事だけど、目を合わす事すら出来なかった。
今、教室には西藤くんは居ない。
「うーん…もう少し待ってみるよ。まだ帰ってないみたいだし…」
チラリと西藤くんの机を見る。
机の上には鞄。
「わたしも一緒に待ってあげようか?」
「ううん、いいよ。由紀ちゃん部活あるでしょ?」
「あるけど…苺が心配」
「ありがとう。でも大丈夫だよ!」
「ホントに?」
「本当に。一人でもちゃんと告れます!」
あたしは手を、おでこの方に当てて、警官のポーズをする。
「わかりました!苺隊長を信じますっ!」
由紀ちゃんも同じポーズをして、笑い合う。
「じゃあ、わたし行くね?」
「うん!夜、連絡するからっ!」
「苺…頑張って!!」
「ありがとう♪…あ、由紀ちゃんは今日、誰かにチョコあげたりとかしないの?」
「へっ!?あ…あげる人なんて居ないよー。あー、早く部活行かなきゃ!」
何だかわざとらしい。
さては…誰かにあげたな?
「由紀ちゃ」
「じゃあ、苺バイバイ!ホント頑張って!何かあったら、体育館おいでね!」
一方的に言うと、由紀ちゃんは逃げるように教室を出て行った。
もう…まぁいいか。
由紀ちゃんが幸せなら、それでいい。
机の上に置いてある、携帯のサイドボタンを押す。サブ画面に表示されるのは時間だけ。
やっぱりメール来ないか…。
藤堂先輩と一緒なのかな。
完璧に嫌われたのかな…無理ないや、1か月ちょっと無視してたんだもんね…。
そう思った時、携帯がピカピカと光った。