ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
そっと指で、チョコレートを撫でた時だった。
「津田っ!!遅くなってごめん!」
「あっ!わっ!きゃ!!」
あたしは焦って、鞄を閉じた。
「?」
西藤くんは不思議そうに見ている。
「あ…ははは。何でもない」
あたしはとりあえず、笑うしかなかった。
周りを見渡すと誰もいない。
さっきの3人組が、あたし以外の最後の人だったのだろう。
これはもう、すぐ告れるって事で…。
ドクン…ドクン…
あたしの心臓は、今までにないくらい強く打つ。
「津田」
「あー!先生見つかった?」
ふいに話題をそらすけど、
「あぁ」
短い返事で終わった。
「「……………」」
お互い何も言わないまま、時間が過ぎる。
言わなきゃって思うのに、何て切り出したらいいか分からなくて、言うのが怖くて…声が出ない。
そんな沈黙を破ったのは、西藤くんだった。
「津田…ごめん」
「えっ?」
「冬休みの事、マジごめん。ずっと待っててくれたのに…」
「えっ!?」
何で知ってるの?と聞く前に、西藤くんは深く頭を下げた。
「津田が怒るのも無理ないけど…ずっと謝りたかった。ごめんっ!!」
深く頭を下げた西藤くんを見ると、胸がきゅってなった。
あたしのこと、考えてくれてたの?
少しでもあなたの心の中に、あたしは居ますか…?
「怒ってないよ…こっちこそ…無視しちゃってごめんね?」
「津田は悪くないよ」
顔を上げて、西藤くんは笑った。
ドキン
見上げるくらいの高さにある、西藤くんの顔。
今、西藤くんの目に写ってるのは…笑顔を向けられているのは…
あたしだよね?
「あのね…話っていうのはね…」
ドクン…ドクン…
あたし…
あたしは…
「西藤くんが好きです」
まるで気持ちが溢れるかのように、言葉が溢れた。