ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆
「………」
俺は言われた事の意味が分からなくて、ただ黙然としていた。
好き…?
津田は俺の事、嫌いになったんじゃなかったのか?
嫌われてるとばかり思ってたから、予想外の展開に声が出ない。
だけど、目の前の津田は、真っ赤になってうつむいて、決して冗談…という感じではない。
「津田…」
名前を呼ぶと、津田は顔を上げて笑った。
「へっ返事はいらないのっ!藤堂先輩居ること、分かってるし!ただ…気持ち伝えたかっただけだから…」
「………」
「じゃあ、あたし帰るね!ごめんね、いきなりこんな話して驚かせちゃって…」
津田は、机の上に置いていた荷物を持って、席を立ち、少し駆け足で、教室から出ようとした。
俺は何も言えず、その姿を見ているだけで…。
津田の足は、教室を出る一歩手前で止まった。
「西藤くん…これからも…これからも、“友達”として仲良くしてくれませんか?」
声は少し震えていた。
「あっ、あぁ」
「ありがとう!」
津田は振り返って笑った。
そして、すぐに教室を出て行った。
走って行ったのだろう、大きく聞こえた足音は、だんだんと小さくなって聞こえなくなった。
この気持ちは何なのか…
苦しい。問いに対して2文字の言葉が浮かぶ。
そんな事はないと言い聞かすけど、
津田を追い掛けたい。津田に会いたい。
なのに、足は固まったまま…。
追い掛けられない。
俺には麗奈が…“約束”が…。
「…マジかよ」
髪を手でくしゃっと掴んで、しゃがみ込んだ。
告白されて気付くなんて遅すぎる…。
津田が好きだ。