ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


「…津田は休みか?」

出席を取り終えた先生が言った。

教室に1つだけ空いた席…
津田の席。
今日はまだ、来ていない。

津田が休むなんて珍しい。
いや、もしかしたら休むのは初めてかもしれない。

どうしたんだ…?

「西藤、津田の事何か知ってるか?」

無意識に津田の机をじっと見ていた俺は、先生に当てられた。

「…知りません」
「そうか…わかった」

先生は連絡事項を話し出す。
こんな時、中野なら分かるんだろう。二人は本当に仲が良い。
だけど、この教室に中野は居ない。2年になって、クラスが変わってしまったからだ。

津田とはまた同じクラスで、気まずいと思いながらも、少し嬉しく思う自分が居た。

俺はずるい…。


ガラガラッ

「すみませんっ!遅れましたっ!」

声の主は…津田。

「早く席に着きなさい」
「はいっ」

パタパタと自分の席に走って行き、鞄を降ろすと、椅子にすとんと座った。
先生はまた話し出し、その話を聞く津田の小さな肩は、上下に大きく動いていて、走って来たのが分かる。


「……というわけだ。じゃあ、そろそろ廊下に、並び出しときなさい」

みんな一斉にざわつく。
トイレに急いで行く者、友達と話しながら廊下に出る者…。

津田は鞄を開けて、荷物を机に移し変えていた。
< 89 / 494 >

この作品をシェア

pagetop