ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「津田」
「えっ?あっ!?お…おはよっ!」
「おはよ」
俺は自分の席を立って、津田に話しかけていた。
あれから…告白から、しばらくはぎこちなく、笑いかけてもくれなかった津田だが、今は挨拶すれば笑いかけてくれる。
まだ…ぎこちない笑顔だけど。
「今日、どうした?」
「あぁ…うん。ちょっと…ね」
「ちょっと…?」
「苺ー!早く並ぼぉ?」
ドアの一歩手前で女子が手招きしている。
「うん、今行く!…西藤くん、ごめんね」
「いや、別に」
津田は鞄を机の横にかけると、友達の元へと小走りで向かった。
俺は何をやっているんだろう。
津田は俺のことを、忘れようとしているのに…
俺が話しかけてどうする。
本当に最低な男だ…。
だけど、
『友達として』と、笑ってくれたのは津田で。
今はしょうがないのは分かるけど、
早く
早く
ぎこちない笑顔じゃなくて、またあの笑顔を、俺に向けて欲しいと願う。
自分は…
津田を笑顔にする、たった一言さえ言えないのに。