ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「津田」
「えっ?あっ!?お…おはよっ!」
「おはよ」

俺は自分の席を立って、津田に話しかけていた。

あれから…告白から、しばらくはぎこちなく、笑いかけてもくれなかった津田だが、今は挨拶すれば笑いかけてくれる。

まだ…ぎこちない笑顔だけど。

「今日、どうした?」
「あぁ…うん。ちょっと…ね」
「ちょっと…?」
「苺ー!早く並ぼぉ?」

ドアの一歩手前で女子が手招きしている。

「うん、今行く!…西藤くん、ごめんね」
「いや、別に」

津田は鞄を机の横にかけると、友達の元へと小走りで向かった。


俺は何をやっているんだろう。

津田は俺のことを、忘れようとしているのに…
俺が話しかけてどうする。

本当に最低な男だ…。

だけど、

『友達として』と、笑ってくれたのは津田で。

今はしょうがないのは分かるけど、

早く

早く

ぎこちない笑顔じゃなくて、またあの笑顔を、俺に向けて欲しいと願う。


自分は…

津田を笑顔にする、たった一言さえ言えないのに。
< 90 / 494 >

この作品をシェア

pagetop