ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「へぇ…1年に間違われるとか苺らしいね!」

由紀ちゃんが、ラーメンをすすりながら言った。

ここは学食。今はお昼休み。
1年の時は、先輩に遠慮して使いにくかった学食も、2年になると使いやすくなる。

「確かにあたしは、チビだし子供っぽいけどさぁ…やっぱりちょっと、ショックだったよ」
「苺はそこがかわいいんだからいいの!」
「そんな事ないって!でも、来年も間違われたらどうしよう…」
「来年の事なんか気にしてどうすんのよ。…で、どうだった?」
「どうだったって?」
「その1年生、かっこよかった?」

さすが由紀ちゃん…。

「うーん…あんまり顔気にしてなかったけど、かっこいいんじゃないかな?」
「マジっ!?」

由紀ちゃんは身を乗り出す。

「うん。でも背は低いかも」
「なーんだぁ」

言いながら由紀ちゃんは、ラーメンの器が乗ったお盆を持って、立ち上がった。
あたしも最後の一口のカレーを、急いで口に入れて立ち上がる。

「由紀ちゃんは背が高くないとダメなタイプ?」
「うーん…自分よりは高くあってほしいよね」
「そっかぁ」

あたし達は教室へと戻る。
戻ってしまえば、由紀ちゃんとまた離れ離れだ…。

ちょっと寂しい…。


「あ、そだ!苺今日、地理あった?」
「うん、3時間目に」
「地図帳貸してっ!」
「いいよ~♪」


由紀ちゃんを連れて教室に入る。
すると、人が固まっていた。

「「?」」

あたしと由紀ちゃんは、顔を見合わせる。

「あ、津田さん帰ってきたよ!」
と、その固まりに居た一人が、こっちに気付いた。
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