ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
翌朝…。
「また明日」その言葉通り、彼は待っていた。
桜舞う通学路で…。
「先輩っ!せんぱーい!」
彼は笑顔で大きく手を振りながら、あたしを呼んでいた。
う…みんな見てるよ…。
「先輩っ、おはようございます!」
「お、おはようございます…」
「何で手ぇ振ってくれないんっすかー?」
「ごめんなさいっ…えと、それより…」
聞かなくちゃ、昨日の告白の事。
でも、何て言ったらいいか分からず、黙り込むあたしに、彼は気付いた。
「昨日の事ですか?」
「そうっ!あれ…は冗談だよね?」
彼は、一瞬無表情になったが、すぐにまた笑った。
「冗談じゃなく、本気っすよ!俺、先輩の事好きですから!」
「え…そんなっ…!」
どうしよう…。
「俺、女の子、だぁーい好きですから!」
………。
「えっ?」
それはどういう事かと聞こうとするけど、聞く前に答えは分かった。
「ユカ、リサおはよっ!」
「おはよぉー♪」
「ってか、制服似合うねっ!」
「翔、昨日も同じ事言ってんじゃん!ばーか♪」
「マジでっ!?」
キャハハハと笑う女の子。
うん…どうやら彼は言葉通り、“女の子”が好きらしい。
あたしはその1人のようだ。
なーんだぁ…。
一気に肩の力が抜けた。安心したけれど、ちょっと残念のような…。
初めて告白されたと思ったのになぁ…なんて。
「先輩?」
「あ…はいっ?」
ボー…っとしていたら、いつの間にか女の子たちは、ずっと前の方まで離れていた。
「大丈夫ですか?」
「うん」
あたしは何となく笑って答えた。
だいたいの事態は分かったけど…
一応…確認だけはしておこう。確認だけは…
「つまりは…好きって言っても、付き合うとかではないんだよ…ね?」