授 か り 人
「このあとは、おれたちも解らないんです。セイラ様に裁きを下すのが目的ですが、彼女がいま何処にいるのか、まったく解らないんです」

 火栄の言葉を聞いて、自分たちで探して回るのかと思うと、一気にやる気をなくしてしまう。

 その時、何気なく振り返った雷志の視界に、先ほど入れられた巨大な水滴が目に入った。

「この残った水はどうするんだ? もうちょっとしか残ってないぞ」

水から出てきた際に体に纏ったからだろうか、最初に見た水の塊と比べると恐らく十分の一程になってしまっている。サイズにして二メートルほどだろうか。

「これはもう…近い内に無くなってしまいそうですね…」

 軽く考えを巡らす火栄に雷志が適当な返事をする。

「じゃあ、何かに使えそうだから貰って行こうぜ」

 雷志の言葉の意味が分かっていない火栄は、持ち歩くなんてことは出来ないと、止めさせようとしている。

 先入観のない雷志は、何か方法があるはずだと、水の固まりを眺め始めた。

 触れた所で通り抜けるだけ。手に持って行くのはまず無理だろう。

 何かに入れて持って行くにしても、入れ物も無ければ、そこまで少ない量でもない。

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