地味子の秘密*番外編*
涙をためて、ジッとケータイを見つめる。


「お前がやらねーなら、俺がやってやる」


ーーカシャ……


「あっ……」


茅那の手からケータイを奪い取り、ボタンを操作した。


「高瀬くん、まっ……」


止める茅那を制して、ケータイを耳に当てる。

プルルルル……と、機械的な発信音が聞こえてきた。



そして。

≪はい、もしもし?≫

相手が出た。


「高瀬っ……くんっ……」


オロオロとする茅那を横目に、告げる。


「夜分にすみません。工藤茅那の友人ですが、彼女が社長にどうしても伝えたいことがあって、代理でお電話しています」


≪要件は?≫


「彼女がですね、もうアイドルの仕事を辞めたいそうです。なので、今日限りで引退したいと言ってます」




俺が言った瞬間。

茅那の顔から血の気が引いていく。真っ青になって、震えはじめた。

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